私たちがワイン醸造で目指すのは、できる限りシンプルに、ブドウが栽培された土地を表現することだ。カスターニャ・ヴィンヤードは、オーストラリア・アルプスの麓、標高500メートルに位置し、ヴィクトリア北東部の美しい町ビーチワース(Beechworth)から5.5キロの距離にある。私たちの土壌は主に粘土層に乗った真砂土で構成されている。明快なほどに地中海気候で、ブドウ栽培に重要な季節の間は、日中は熱く夜は涼しい。土壌はルドルフ・シュタイナー(Rudolf Steiner)の生物力学の原則に基づき、バイオダイナミック農法で作られる。それこそがブドウの品質を最適化しテロワールを最も良く表現する、最高の方法と信じている。
ブドウ畑は手作業で剪定され、ブドウは手摘みされる。私たちは1エーカーあたり2トン未満のみ栽培する。ワイン醸造は非常に伝統的で、人的介入を最小限に抑え、自社畑固有のイースト菌のみを使用する。熟成は概ね18~20ヶ月、手に入る最高のタイトグレインのフレンチオーク樽で行い、うち半分は新樽を使用する。
私たちのワインは数多くの国々に輸出され、世界中の名高い高級レストランで提供されている。このことを大きな誇りに思っている。特にフランスとの付き合いは長い。だからこそ、パリのマドレーヌ大通りにある世界最高のワイン専門店<ラヴィニア>に私たちのワインが並べられたと知ったときは、この上なく光栄だった。まさに<ライオンの穴のダニエル>になった気分だ。
カスターニャ・ジェネシス シラーは、豪州の一流ワインの証、ラングトン・クラシフィケーション(Langton’s Classification)の仲間入りを果たした。
私たちのワインを当初から知る人々は、このジェネシス シラーという聖杯に豊かなピノ・ノワールのソウルが加わったことに気づくだろう。2015年ものはそんなヴィンテージだ。色合いは紅色とマゼンダの中間。フェミニンでエキゾチックな香辛料の香りは、赤と黒の二つのベリー、ペッパー、シナモン、カルダモン、アニス、ほのかに香るウッド、燻製肉のニュアンスを感じさせる。味わいは果実由来のフレッシュで生き生きとした酸味、カスターニャ特有のきめ細かいタンニンの仕上がり。バランスのとれたエレガントなワインだ。
複雑な香りで酸味のあるチェリーと生き生きとした新緑、小穂やラズベリーが香る。ほのかにスパイスが効いたバニラを感じる。 サンジョベーゼが魅力的でエレガントな味わいを複雑に表現し、大地の豊かさを感じる。甘みを感じさせないワイン。酸味のあるチェリー、リッチな口当たりと、しなやかなタンニンが感じられる味わい。よく熟したチェリーがスパイスとなり、ドライハーブと使いこまれたフレンチオーク樽を存分に表現している。クリーミーで魅力的なテクスチャーを持つ。
まだ誰も味わったことのない、驚異的なブドウ品種による最高の演出。カスターニャのバイオダイナミック農場ではなく、厳選された契約農家のブドウを使用。いままでのヴィンテージ同様、強い刺激を与えてくれる。熟したストーンフルーツ、ほろ苦いアーモンド、マルメロ、ジンジャー、ベルガモットの風味は力強く駆け巡り、エネルギッシュなオーク、フェノリックス、鮮明なミネラル感が印象的。生き生きとした活力が特徴的!ボーカステル ヴィエイユ ヴィーニュを思わせる。
ジュリアン・カスターニャがかつて言った「ワイン造りを熟知した者が造ったオレンジワインだ」と。まさに彼の言う通り!このスタイルの秘密は、果皮のマセラシオンによって、品種特有のタンニンを磨き上げることにある。ポイントとなるのは、ローザンヌ、ソーヴィニヨン、セミヨン、ヴィオニエをブレンドしていることだ。調和した生姜飴、ドライアプリコットとチャツネ。程よさを経てピリッとしまる酸味。ドライすぎず、すべてが程よい。なめらかだが押しのある果実感としっかりとしたストラクチャー。飲み過ぎに注意!