真実はブドウ畑にある。けれどグラスでしか証明できない。(後編)

イェレナ・ブルックス
イェレナ・ブルックス
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ダンデライオン
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2018-11-16

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イェレナ・ブルックス(Elena Brooks)は豪州へと旅立つ前に「アデレード大学を卒業したら、母国ブルガリアの醸造所で働く」と決めていた。それは彼女の早くして開花した才能を見込んで後援してくれた、ブルガリアの多くの醸造所のためだ。決して間違った選択ではない。だが実際のところ、彼女は自分自身の将来の選択肢を残したままでいたかった。

他の学生と同様、醸造所やブドウ畑で働いて学費を稼ぎながら、教科書や授業で学んだことを実践する日々を送っていた。誰しも、ブドウ収穫の大騒ぎの最中で、ビジネスパートナーでもあり生涯のパートナーでもある人と出会えるとは期待していない。しかし2000年に、イェレナはそんな運命の人、ザル・ブルックス(Zar Brooks)とブドウ畑で出会うことになる。彼はダーレンベルグ(d’Arenberg)やウィラ・ウィラ(Wirra Wirra)のような代表的な醸造所で働き、ワイン市場では誰もが知る豪州きっての逸材だ。そんな彼とイェレナは恋に落ち、二人の物語がここから始まる。

2001年にイェレナは学位を取得すると、マクラーレンべール(McLaren Vale)の醸造家であるジェフ・メリル(Geoff Merrill)の下でアシスタント醸造家として働く。その後は数年の間、マックスウェル・ワインズ(Maxwell Wines)で働いた後に、23歳で最初のワイン醸造所を立ち上げる。若い醸造家にとってイェレナはただでさえ印象的な存在であったが、それは単なる彼女の前奏曲に過ぎなかった。彼女の代名詞ともいえる醸造所ダンデライオン(Dandelion Vineyards)は2007年にパートナーであるザルを含んだ醸造家仲間と共に設立された。

イェレナはその後も世界中を飛び回り、醸造家としてのキャリアを積んだ。スペイン、イタリアそして彼女の母国であるブルガリアでは、特定のブドウ品種がどの地域に適しているのかについて学ぶ。また、イタリアのカンパニアを訪れた際にはダンデライオンの共同経営者であるフィアノと共に、栽培地とブドウ品種の強固な結びつきを目の当たりにする。それらの事実からイェレナは強いインスピレーションを受け、彼女のワイン哲学はここで形成された。

比較的早くに成功を収めたイェレナの将来は、まるでバロッサの燦燦(さんさん)とした太陽のように輝いている。彼女にとってブドウ畑とは日々の学びの場であり、彼女を躍動させる場所だ。急速な成長を遂げた豪州ワイン界の背景には、彼女の絶え間ない努力と情熱がある。まだまだ男性優位が根強い豪州ワイン界の将来は、一人の若き女性醸造家の手にかかっている。

ダンデライオン

PO Box 138,マクラーレンベール,南オーストラリア州,オーストラリア