伝統と近代の技術が調和したブドウからワインまでの道筋

サム・カヴァデール
サム・カヴァデール
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ポルペロ
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2018-12-04

「上質なワインは上質なブドウから作られる。ブドウの種類に合わせて土壌の種類を変えることは重要なことだ。豪州のワイン地域は、気候・環境共に世界最高峰であり、エレガントで豊かなテクスチャーを持つワインを提供してくれる。」とポルペロとイーブン・キールの二つの醸造所を経営する醸造家、サム・カヴァデール(Sam Coverdale)は語る。

ブドウに最良の環境、サーフビーチ、そして目と鼻の先には大都市メルボルン。モーニントン半島のこの優れた立地条件に魅了され、この地に2つの醸造所を構える決意をした。幼い頃から、ニューサウスウェールズ州 (NSW)南東部とクイーンズランド州(QLD)南部のビーチに通い詰めてはサーフィンをして育ったサムは、18歳という若さでで豪州ワイン業界きっての老舗醸造所ティレルズ(Tyrrell's)の門をくぐる。また彼は熱心に勉学に励み、クイーンズランド大学の経済学科に在学している間に、チャールズ・スタート大学でワイン醸造学の学位を取得した。

国内外問わずワインを造り続けてきたサムのキャリアは20年以上にも及ぶ。サムは豪州の老舗醸造所であるハーディーズ(Hardy’s)に加わり、国内のいくつかのワイン地域を渡り歩く。その後はスペイン、イタリア、そしてフランスの天才ワイン醸造家、ジャン・マルク・ラファージュ(Jean-Marc Lafage)の下で学んだ。それらの地道な修練により、サムは強いワインセンスを身に着けた ー 造り手としても、また飲み手としても。彼の造るワインは地域特有の個性を余すことなく発揮し、その年ごとの気候条件を体現した。

サムのブドウからワインまでのアプローチはユニークで、伝統技術と現代技術の両方を掛け合わせることに力を入れている。彼の根底にあるのは、オーガニックでバイオダイナミック、そして最小限の人的介入を組み合わせることで、ブドウ畑のコンディションを向上させることだ。それは結果として、手作りで造るワインの品質の高さを証明することに繋がる。

サムは、2006年に最初のレーベルであるイーブン・キールを設立。豪州のワイン地域の中から選び抜いたブドウのみを用いてワインを造りことに着目した。その後は2009年に、モーニントン半島でプレミアムなワインを造ることだけに特化した醸造所ポルペロを立ち上げる。ポルペロのワインに使われるブドウはすべて単一畑で育てられたものだ。

サムのワインはヨーロッパから強い影響を受けている。ポルペロとイーブン・キールの二つのレーベルは共に、持続可能かつ優雅、そしてバランスの取れた味わいのワインを造ることに焦点を当てている。

暢気な性格で知られているサムは、ワインを飲む人にとって笑顔になれる素敵な味わいと笑顔になれる空間を提供したかった。2014年には、サムの念願叶って、レッドヒルの中心地にポルペロとイーブン・キールを紹介するための複合施設がオープン。ビストロやセラードアが人々を楽しませる。親しみやすく、近代的で人々を惹きつけてやまないこれらの施設は、今やモーニングトン半島とメルボルンの地元民の憩いの場となっている。

「ピノ・ノワールとシャルドネを専門とする彼は、独特のスタイルに基づいて、ワインを生産している。その背景にはブドウ畑との絶大な信頼関係がある。ピノ・ノワールの淡い色合いとは対照的に、印象的な味わいは飲む人を引き込む。またシャルドネは低アルコールであるため、マロラクティック発酵と組み合わせたことで味わいに奥行が加わり、良い影響を与えた。」ヒュオン・フック(Huon Hooke)

「このワインが私に他のワインを飲むことをやめさせた。その朝、私は既に豪州のピノ・ノワールを50種類テイスティングしていた。だが、このピノを試飲した時、私の舌はこれまでにない印象を受けた。このピノは私が今までに飲んだピノとはまるで違ったのだ。多くの豪州のピノがそうであるように、香り豊かな赤いベリーを感じられるが、舌が受けるタンニンのスリリングで華やかな印象は他のピノとは異なる。」 マックス・アレン(MAX ALLEN)

ポルペロ

150 Red Hill Rd,レッドヒル,ビクトリア州,オーストラリア