リースリングに学ぶ、その年のヴィンテージとバラエティー

トニー・コスグリフ
トニー・コスグリフ
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センテニアル・ヴィンヤーズ&ワイナリー
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2018-12-20

「私は長年の経験から、人間がワインに施せることは限られ、良質なワインを構成する大半の要因はブドウ自身が育むものだということに気づいた。この考えに基づいて、私は可能な限りワイン造りの工程で人的介入を制限し、ブドウ畑が持つ固有のフレーバーをワインに付与させることに徹している。」

トニー・コスグリフ(Tony Cosgriff)はニュージーランドで育ち、物理・分析化学を長きに渡って研究していた。大学時代は当時、まだ新興であったカンタベリーのワイン産業に熱中する。「地元のブドウ畑を訪れ、ワインのテイスティングをするのが週末の楽しみだった。そうして私はワイン業界に身を置くことを決め、ワイン醸造学(Oenology and Viticulture)を学ぶに至った。」とトニーは語る。

その頃のトニーは、経験に飢えた若き一人のワイン醸造家であり、彼がこれまでにワイン醸造を学ぶために幾多のワイン地域を訪れた。ギズボーン(ニュージーランド)、ホークスベイ(ニュージーランド)マールボロ(ニュージーランド)、ワイパラ(ニュージーランド)、フランクランド(西オーストラリア)、バロッサバレー、(南オーストラリア)、アッパーハンターバレー(NSW)、ソノマ郡(カリフォルニア、米国)、オレンジ(NSW)と多くの経験が今の彼を象った。トニーはオレンジで働く一方でワイン業界の小売業で成功を収めた起業家ジョン・ラージ(John Large)から、彼が所有するサザンハイランズ、ボーラルの土地で設立される新たな醸造所の話を聞く。

「ジョンと出会い、ジョンが望んでいた最高品質のワイン醸造こそが私のやりたいことだということに気づいた。こうして2001年下半期に、センテニアルの醸造所が設立され、私はそれ以来、醸造家として働いている。」

センテニアルの醸造チームの協力もあり、トニーは数々のワインショーで賞を受賞し、称賛を浴びた。2014年にセンテニアル・ヴィンヤーズは、豪州で最も名声あるワイン評論家ジェームス・ハリデー氏のコンパニオンで赤の5つ星を獲得したサザンハイランズで唯一の醸造所となった。

「毎年、前年を超える上質なワインを醸造するためには、熱心な研究と提案、改善、新しい技術の導入は無くてはならない。偏見なく、多くを受け入れ、また自分たちのワイン醸造における問題点はどんな些細なことでも見過ごさない。その結果として、毎年のワイン醸造の中で、その年ごとの全く予想だにしないことも学べる。」

トニーはこれまでに26本のヴィンテージを手がけているが、栽培期間がブドウにもたらす可能性と、ブドウのポテンシャルが素晴らしいワインを造ると未だ胸を躍らせている。彼は、特に複雑な味わいを持つスパークリングワインを造ることに情熱を燃やす。他のワインはスパークリングワインと違って味わいが大きく変わってしまうことはそうそうない。前述にも述べたように、その年々で異なるバラエティーの特徴やそれに応じた工夫をすることが彼の毎年の楽しみなのだ。

センテニアル

252 Centennial Rd, Bowral NSW 2576