年によって自然は移り変わり、ワインはそれを表現する。

グレイム・ショー
グレイム・ショー
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ショー・ヴィンヤード・エステート
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2018-12-16

グレイム・ショー(Graeme Shaw)はショー・ヴィンヤード・エステートの醸造チームを率いる醸造家だ。彼は高品質でありながら、手頃な価格帯のワインを一貫して生産することを追求している。豪州ワイン業界が高品質なブドウを作る地域としてムランベイトマン(Murrumbateman)に着目し始めたことをきっかけに、彼は1985年、ムランべイトマンに移り住み、ワインビジネスを開始した。

長きに及ぶ醸造所の建設期間を経て、1997年にグレイムは、豪州の中でも屈指の醸造所であるBRLハーディのアートワイナリーを建設した。建設の過程で、ハーディとグレイムは、85エーカーの土地を契約栽培者として借用し、ハーディは最終的に同社を売却。その後にショー・ヴィンヤードのブランドは開花した。以降、キャンベラがワイン地域として盛り上がりを見せるようになった。

ショー家がムランべイトマンに移り住んだ、今から25年以上前のこと、一家はワイン業とは別に、19世紀半ばから続く、歴史ある放牧地「オルレイビル」を購入。700エーカーの広大な土地でメリノ羊を放牧し、高級ウールの生産も行った。彼らは放牧していたメリノ羊の羊毛の質を高めることと同時に、ブドウ畑の雑草防除を目的にメリノ羊をブドウ園で放牧した。

初めてショーのブドウ園にブドウが植えられたのは1999年。最初のヴィンテージが生産されたのは2004年。グレイム、妻のアン、そして息子のミカエルは共にブドウ栽培学を学び、その後にワイン醸造学を学んだ。そのことが功を成し、最初のヴィンテージを生産してまもなく、彼らのカベルネ・ソーヴィニヨンとリースリングは人気を博し、世界各地で数カスのトロフィーと金賞を獲得した。

グレイムのワイン造りにおける哲学は、「年によって自然は移り変わり、ワインはそれを表現する。」だ。年によって、良い時もあれば、悪い時もある。だが私たちはいかなる時でもブドウと向き合い続ける。いつも平均して品質の高いブドウが作れるのなら、何も問題はない。だが、雹などの避けられない天候の問題や病気のようにブドウにとって困難な状況こそ、私たちのブドウ栽培とワイン造りの技術が試される時なのだ。そして、収穫するブドウも一定数のみに限定することでブランドの質を保ち、結果的に質の高いワインを造ることに繋がる。グレイムは実績があるブドウ栽培技術、キャノピーマネジメントを採用し、収穫量を管理したことで、果物の品質を高めることを実現した。さらに、ショー・ヴィンヤード・エステートは農薬を一切使用しない他、除草剤を使用する必要すらなかった。オーガニック認定こそ受けていないが、オーガニック認定に必要な条件のほとんどを満たしている。

「私が与えられる一番のアドバイスは、ワイン生産の工程すべてに言えることだ。もし果物の品質に満足していないであれば、ワインを造ってはいけない。短期的な損失は、最終的に長期的な評判と利益を生み出し、損失をはるかに上回る。」とグレイムは言う。

グレームは近年、国内外の旅行者やワイン愛好家が楽しめるワールドクラスのテイスティング施設をショー・ヴィンヤード・エステートに新しく建設した。19年間の成果が、これまでにないほど成熟したブドウの生産を可能にした。

「家族経営で醸造所を所有し、運営することによって、自分たち自身でブドウ栽培やワイン造りを試行錯誤し、自分たちなりの答えを出すことができる。ショー・ヴィンヤード・エステートは、比較的若い醸造所ではあるが、カベルネとリースリングにおいては、国際的に受け入れられた。」とグレイムは言った。

ショー・ヴィンヤード

34 Isabel Drive,ムランベイトマン,ニューサウスウェールズ州,オーストラリア