環境保護とブドウ造りは共存できる

ボリー・ガーテル
ボリー・ガーテル
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ボロデル・ヴィンヤード
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2018-06-11

ボリー・ガーテルは、この山周辺で暮らすボロデルファミリーの5世代目に当たる。1965年にまだ青年であったボリーは、当時荒廃状態であった135エーカーの土地を購入した。元々は豊かであった土壌を完全に掘り起こし、あらためてヨーロッパの伝統に基づいて勢いよく耕作される様子をみて、近隣の先住民達は恐れ慄いたに違いない。結果として、表土の多くは斜面下に一旦落ちてしまった為、ボリーの再耕作の第一歩は、何十万メートルにも及ぶ土壌を元の山腹に運び上げる作業だった。

侵食された谷間は埋められ、土壌の保全作業も行われた。その後まずは野生の鳥や動物の為の食料源および避難・生息地を確保する為、何千もの地元およびヨーロッパ原産の樹木が植えられた。水は、植物が豊かな斜面に浸透するようになり、葦がしげる湿地を通ってカノボラス湖へと下っていく。野生の動物や鳥の増加は決して脅威ではなく、プラスの事なのだ。

ボリーは、土地を豊かにし保護していくという活動と常に深く関わってきた。今でも土地の保護と生産活動は共存することが可能だと強く信じている。彼はまず販売用の林檎、サクランボとプラムに加えて、寒冷品種用の葡萄の木を植えた。現在、代々続く180種を超える林檎および230種を超えるプラムが栽培されている。これらの品種はシェークスピアのソネット集にも登場し、さらにロシア皇帝達も堪能していたと言われており、現在は世界中で厳選されたレストランや愛好家達にのみ出荷されている。

現在ボリーによる全ての園芸地域は草生法によって保護されており、土壌汚染となる耕作法は過去の話だ。水は、植物が豊かな斜面にすみずみまで浸透し、葦がしげる湿地を通ってカノボラス湖へと下っていく。「化学農法がベスト」と信じられた時代を経て、今は農作物保護と疫病管理に統合的なアプローチすることが不可欠となったのだ。

我々の土地の2割は、野性動物や鳥類の保護目的による原生植物の植生が行われている。ハリモグラ、ワラビー、カンガルーの生息地を持ち、白いボタンインコ用の林檎のの木々を栽培していることを誇りに思う。薮の中の小鳥やミソサザイ達、機械小屋に巣作りをする宵っ張りのフクロウ、羽を畳んだコウモリや灰色のツグミ達、牧草地にいる水鳥達なども見ることできる。山にいるウォンバットもいつかボロデルまで降りてきて快適に過ごしてくれることを願っている。

「我々は自然と戦うのではなく共生することを目指す」ボリー

ボロデル

298 Lake Canobolas Road,オレンジ,ニューサウスウェールズ州,オーストラリア