土壌水分ロガー

林亜里紗
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2019-01-25

みなさん、こんにちは。

皆さんが素晴らしいホリデーシーズンを過ごし、そして新年に素晴らしいスタートを切ったことと思います。現在、南半球では夏のピークを迎えています。ぶどう畑チームの誰もが、とても忙しい時です。毎週、殺菌剤スプレーがあります。昨年暮れのクリスマスの少し前にブドウの生垣(いけがき)作りに着手しました。今年は、例年と非常に違った季節になっています。母なる自然が1シーズン遅れてきているようです。春なのに冬の状況が続き、夏になっても春の状況が続いていました。夏の初めにブドウの木に水を引く作業(灌漑)に対し強い圧力がなかったのですが、これが結果的に災い転じて福となっています。栄養成長を維持するために利用可能な土壌内の水分量が、まだ十分にありました。しかし、ホリデーシーズンが年の変わり目に近づくにつれて、灌漑プログラムを注意深く監視し、予測しなければならない暑い日が何日かありました。

1時間ごとに土壌内の水分量データをトレースし、記録・保管する測定装置(イリゲーション・ロガー)が何台かあります。このデータはモバイルアプリからアクセス可能であり、灌漑の必要条件の決定を行う時やまたどのくらいの期間、灌漑するのかに対し、非常に役立ちます。高品質なブドウ栽培では、灌漑の必要条件の決定は、土壌内の欠乏水分量の適正レベルとのバランスです。灌漑しすぎると、栄養成長が多すぎるため、キャノピー病のリスクを増大させます。逆に灌漑が少なすぎると、キャノピー病リスクは少なくなりますが、ぶどうの成長が危うくなります。

土壌内の正しい水分量レベルを決定するための秘密の公式はありません。ブドウ栽培家として私の仕事は、データと観察に基づいて客観的かつ主観的な決定をすることです。

ブドウ畑チームは、年末年始のホリデーシーズンの間でさえ、最高の状態で収穫シーズンをむかえることができるように全力で働いています。

林亜里紗

メルボルン郊外在住。ブドウ栽培家(ビティカルチャリスト)としてモーニントン半島の醸造所テン・ミニッツ・バイ・トラクターで働く。この醸造所が所有するブドウ畑の各区画が、トラクターで10分の距離にあったことが醸造所の名前の由来となっているが、彼女のこれまでの経歴はブドウ畑につくまでには語りきれない。